
2025年5月22日
ニホンイシガメ:冬眠明けから梅雨時期の病気対策
ニホンイシガメを屋外で飼育していると、毎年のように水カビ病を発症する個体が見られます。特に水温が安定しない冬眠明け(4月頃)から梅雨明けにかけての時期に多く発症します。
水カビ病を繰り返す個体の特徴
我が家で飼育している一匹は、約10年前に前飼育者から譲り受けた種子島産の個体です。非常に元気で、食欲も旺盛ですが、甲羅干しをあまりしない性格のため、水温が上がらない時期は消化がうまくいかず、水カビ病が長引く傾向があります。

<水カビ病>

臆病な性格で陸地に上がることが少ないため、体温が上がらず、自然治癒しにくい状態です。それでも毎年産卵期には陸に上がって安定した卵を産んでくれています。

<種子島産とされるイシガメ>
ただ、近年は年齢の影響か受精率が下がっており、引退も視野に入れています。なお、15歳を超える高齢個体も数匹います。今年は産卵が終わる9月ごろに販売予定です。飼育環境が良ければ、毎年20個ほどの産卵はまだ可能です。
低水温時の餌と栄養管理
ニホンイシガメ個体によっては、低水温期にはペレット餌の食いつきが悪くなるため、ビタミン豊富な活餌(小魚やミミズなど)を与えるようにしています。
万が一水カビ病にかかっても、スーパーで購入可能な鶏のレバーを与えることで多くの場合は回復しています。
水カビ病の注意点と治療のポイント
水カビ病の治療では、イソジンや薬浴に頼りすぎると逆効果になることもあります。臆病な個体に薬浴治療をおこなうことで、ストレスから餌を食べなくなり、結果として体力低下・ビタミン不足となり、
- 目が開かなくなる
- 手足が腫れ上がる
- 最悪の場合は命に関わる
という深刻な症状へ進行することもあります。
治療の基本は「餌を食べさせること」
最も重要なのは、「タイミングよく、適切な餌を与える」ことです。
与えすぎにも注意!低水温での消化不良
低水温・低気温時に餌を与えすぎると、消化不良を引き起こし、かえって食欲が落ちてしまいます。活餌の食いつきが良いからといって与えすぎると、
- 腸内で消化されずガスが溜まる
- 肺から空気を抜いても甲羅の後部が浮くようになる
といった症状が出ることがあります。これも水温が上がるまで自然回復しにくいため注意が必要です。
室内加温での対処法
水カビ病や消化不良に対しては、飼育環境を室内に移し、ヒーターで徐々に水温を上げることで、腸内環境を整え、栄養をしっかり摂らせることが回復への近道です。目安としては水温30℃程度まで徐々に上げると良いでしょう。
次回、ニホンイシガメの地域的な特徴やニホンイシガメとクサガメの交雑種について