2025年6月25日

ニホンイシガメ・ハイカラー個体の安定的な繁殖

ニホンイシガメの産卵シーズン到来!

ニホンイシガメの産卵が始まりました。例年より2〜3週間遅れのスタートとなっています。その理由のひとつは、これまで毎年6月初旬に産卵していた大型個体2匹の環境変化にあります。

産卵床を独占したイエローハイカラーの親個体

毎年ハイカラー個体を産んでくれていたイエローハイカラーの親個体が、産卵床を独占し他のカメの産卵を妨害するような行動をとるようになりました。

やむを得ず、この個体は販売個体として掲載。すぐに購入希望が入り、即決で決まりました。おそらく卵を持っていたので、今年もどこかで産卵すると思われます。

ニホンイシガメ雌③
ニホンイシガメ雌③

ニホンイシガメ・種子島産とされる大型個体も販売へ

もう一匹の大型個体は「種子島産」と称される個体。例年6月初旬に産卵していましたが、昨年から受精率の低下が見られ、水カビの症状もあったため、こちらも販売に出しました。

どちらの個体も人気があり、すぐに決まりましたが、高齢になると受精率が下がる傾向があります。これら2匹は毎年3クラッチ×8~9個=年間約25個の卵を産んでおり、そのうち7割(16~18個)は孵化していました。

種子島産とされるイシガメ
種子島産とされるイシガメ

現在の繁殖個体と産卵数の傾向

現在、私の元にいるニホンイシガメの繁殖個体は主にヤング~アダルト個体です。

  • ヤング個体(6〜8歳・15〜17cm)
     年2クラッチ×6個=12個程度を産卵。受精率は高く、10〜11個が孵化します。
  • アダルト個体(8〜12歳・17〜20cm)
     年3クラッチ×7〜8個=20〜24個を産卵。受精率も高く、17〜20個が孵化します。

毎年1〜2匹は自家残しとし、繁殖効率が下がった個体や、成長の遅い個体、警戒心が強い個体などは販売に回しています。

今年は繁殖個体数をやや減らし、飼育環境にも変化を加えてスタートさせています。

“量”から“質”へ。ハイカラー繁殖のための取り組み

これまでは「数を産ませればハイカラーも増えるだろう」と考えていましたが、実際にはノーマルカラー(黒い模様が多い個体)も多く残ってしまい、管理の手間や販売の課題も生じていました

そこで現在は、「数より質」、ハイカラーの発現率を高めるにはどうすれば良いかに重点を置いています。

ニホンイシガメのハイカラーが自然界に少ない理由とは?

自然界ではニホンイシガメのハイカラーの個体はほとんど見られません。その理由について、私なりの考察は以下の通りです。

  1. ハイカラーで産まれても外敵に襲われやすく生き残れない
  2. 紫外線や太陽光による甲羅の変色
  3. 自然界の限られた餌の影響
  4. 水質や水中環境の違い

このうち、②~④は人工環境下で改善可能だと考えています。

飼育環境の工夫で見えてきた変化

昨年の秋から、以下のような環境改善を試みました。

  • ②紫外線対策:直射日光が当たる時間を短縮
  • ③餌の工夫:栄養や色素に着目し、複数タイプの餌を試す
  • ④水質改善:pH値管理、水カビ防止策の導入

この結果、以下のような具体的な変化が確認できました:

  • 甲羅の色味や光沢の変化
  • 皮膚状態(水カビ)の改善
  • 餌の違いによる成長差
  • 卵の発育状態の変化

まだ「明確な成果」とまではいきませんが、良い兆候と課題の両方が見えています。

これからの展望

ニホンイシガメのハイカラー個体の安定的な繁殖を目指して、今年・来年・再来年と長期的な取り組みを続けていく予定です

「たくさん産ませる」から「質の高い子を残す」へ。私のニホンイシガメ飼育は、新たなフェーズに入りました。今後も変化の記録をブログで共有していきたいと思います。

イシガメ

種子島産イシガメ

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